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更新日:2022年8月1日

静岡県農林技術研究所

No.76/ 2022年8月/ 研究所ニュース

視点

南方系の侵入害虫が増加?温暖化の影響? 技監兼病害虫防除所長 池田 雅則

画像:

近年県内で発表された特殊報の病害虫

 最近では九州方面からの侵入害虫や病気の報告が増えています。気候変動による温暖化の影響でしょうか?静岡地方気象台の月平均気温の変化を見ると、この80年間で温暖化が進んでおり、月により違いがありますが、約1℃から3℃弱上昇しています。特に2月、3月の上昇が大きく、8月も上昇幅が他の月より大きいです。では、この温暖化が病害虫の発生にどう影響しているのでしょうか?冬期の温暖化により、今まで越冬できなかった虫が越冬できたり、越冬数が多くなることで多発するようになります。侵入害虫だけでなく、今まで九州など南にしかいなかった害虫が、静岡や関東でも見られるようになってきました。代表的な種がミナミアオカメムシです。以前は静岡ではアオクサカメムシが主流で、ミナミアオカメムシはほとんど見ることができませんでした。それが、2006年頃からミナミアオカメムシしか確認できなくなり、現在でもアオクサカメムシはなかなか見つかりません。近県でも同様にミナミアオカメムシが主流となっています。
では、侵入害虫はどうでしょう。九州で報告されたツマジロクサヨトウの飛来が、翌年には全国で報告されたり、九州方面からトマトキバガの発生が報告されたりと、南方系の害虫の報告が多く見られるようになりました。また病気でも、暑い地方で発生していたサツマイモ基腐病が、九州から広がり、今では関東方面でも発生しています。
 これらは、温暖化の影響だけで増えているのでしょうか?温暖化が主な原因ではあるのですが、それだけではなく、外国との人や物の往来が増えたことも大きな要因です。人や物とともに微小害虫などは移動します。また、国内の広がりの面でも、育苗時に入った害虫が苗の流通と一緒に広がるなど、従来では考えられない早さで広まっています。病害虫の動向は、気候変動だけではなく、社会生活の変化や流通の革新、栽培方法の変化など様々な要因で変わってきます。これからも病害虫防除所では、侵入害虫をはじめとする病害虫の発生動向をお知らせしていきます。

研究情報

世界初!あたらしい花「ビジューマム」誕生

画像:育成した2品種の花 「ビジューマム ローズクオーツ」(上) 「ビジューマムガーネット」(下)

育成した2品種の花 「ビジューマム ローズクオーツ」(上) 「ビジューマムガーネット」(下)

 静岡県では、温暖な気候と消費地への近さから、鉢物や花壇苗の栽培が盛んです。花き類は、新しい特徴を持った新品種の需要が多く、また、近年は暖房燃料の価格が高騰していることから、より低温でも栽培が可能な新品種の育成が求められています。
 伊豆農業研究センターは、産地主力品目のマーガレットと、耐寒性の強いローダンセマムの交配に取組み、胚珠培養という手法を用いることで、世界で初めて雑種2品種の育成に成功しました。この2品種は、従来にない鮮やかな花色が特徴で、フランス語で宝石を意味する「ビジュー」と、キク科の愛称「マム」を組合せた「ビジューマム」と命名し、品種登録を出願しました。「ビジューマム」は、1月から6月頃まで開花し、コンパクトな草姿で鉢物や花壇苗としての栽培に適します。また、ローダンセマムの耐寒性を受け継いでいるため、県内暖地では暖房無しで栽培が可能です。
 現在、県と契約した産地では、令和5年1月の出荷を目指して栽培が始まっており、静岡県にしかない新しい花「ビジューマム」として、産地のブランド力強化や生産性向上が期待されます。
(伊豆農業研究センター 生育・加工技術科 主任研究員 勝岡 弘幸)

画像解析による温州ミカンの生体診断技術の開発

画像:温州ミカン樹の3次元点群(上)、処理前の画像(中)とオルソモザイク画像(下)

温州ミカン樹の3次元点群(上)、処理前の画像(中)とオルソモザイク画像(下)

 温州ミカンは隔年結果しやすい特徴を有していることから、毎年安定した生産量を確保するためには、摘果により適正な着果量にすることが不可欠です。適正な着果量の指標として、葉果比(果実1果あたりの葉数)がありますが、樹毎に葉数と果実数を調査し、葉果比を診断することは労力的に困難で、これまでは達観や枝ごとの調査から推定していたため、摘果量を正確に把握することはできませんでした。
 そこで、果樹研究センターではドローンの空撮画像から葉果比等を樹毎に診断する技術を企業等と共同で開発し、適正な着果管理による隔年結果を防ぐ技術開発に取り組んでいます。ドローンで撮影した複数の画像を市販の画像処理ソフトで処理すると、園地の3次元点群やオルソモザイク画像(レンズによる位置のずれを補正した画像)を得ることができます。
 当センターでは、得られた3次元点群等をさらに解析することで、摘果前の葉果比を樹毎に診断する技術を開発中です。これにより、適正な着果量にするために必要な摘果量の目安を把握しながら摘果作業を進めることが可能になります。
(果樹研究センター 果樹生産技術科 主任研究員 佐藤 優賛)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466