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更新日:2022年11月22日

静岡県農林技術研究所

No.78/ 2022年12月/ 研究所ニュース

視点

ChaOIプロジェクトの推進 茶業研究センター長 小林 栄人

画像:

ChaOI-PARC(茶業研究センター)の本館リニューアル完成予想図

 令和2年にスタートした、『ChaOI(Cha Open Innovation)」プロジェクト』の出口戦略では、「県主導から民間連携による需要創出への転換」を掲げており、その中の一つの柱として、“静岡茶の新たな価値の創造と需要の創出”を目指しています。
 本プロジェクトでは、①生産者、茶商、飲料・食品・機械メーカー、大学、研究機関、関係団体等からなる「ChaOIフォーラム」の会員が連携して行う新商品開発や新たな販路開拓等の取組を支援するほか、②茶業研究センターを令和6年度末までに再整備し、これまでの基盤研究に加えて、先端研究やオープンイノベーションの拠点となる「ChaOI-PARC」(Cha Open Innovation-Practical and Applied Research Center)としての機能を強化します。
 茶業研究センターは、114年間の茶業研究の実績を活かしながら、多くの研究者や茶業者、消費者等の多様な人材が集い、様々な情報が集積する新たな研究施設へと発展していきます。
 昨年度末には、研究ほ場の一部を畝長100mの大区画ほ場に再整備し、輸出を視野に入れた有機栽培やドリンク向け原料茶の超省力生産について研究を行っています。また、保有する約3,000系統の遺伝資源の形質等をデータベース化し、超多収性の品種や病害虫に強い耐病性品種、機能性成分を高含有する品種などを早期に育成するスマート育種の研究を開始しました。この他、ドローンを活用したセンシングによるスマート農業技術や有機栽培で課題になっている除草作業の省力化技術、原料茶等の低コスト加工技術などについても研究を行っています。
 一方、再整備については本年度から本格的に改修工事が始まりました。新製品開発実験棟や製茶技術研究棟等の改修工事をはじめ、電気や水道等のインフラ工事が始まり、来年2月頃には本館及び茶業学科棟の解体工事が始まります。来年夏頃には新研究棟(本館)の建設工事が始まり、令和6年度末に新棟が完成する予定です。また、次年度から新製品開発実験棟に整備するオープンファクトリー(新商品を試作するための実験機器の有料貸出し)の運用を開始し、令和7年度には新棟に整備する先端オープンラボ(大学や企業等への研究室の有料貸出し)や基盤オープンラボ(簡易な分析機器の有料貸出し)の運用を開始します。茶業研究センターは、今後もChaOIフォーラムや関係団体等と連携し、本県茶業の発展に貢献していきます。

研究情報

茶園用うね間除草機の開発

画像:除草中の茶園用うね間除草機(特許出願中)

除草中の茶園用うね間除草機(特許出願中)

 有機茶生産では、除草剤を使用できないことから、基本的には手作業であったり刈払機を用いて作業者がすべての茶うね通路を歩行して除草します。除草作業は、夏季が多く重労働なうえ年間労働時間の8割を占める事例もあり、有機茶栽培農家に大きな負担となっています。
 この負担を軽減するため、乗用型摘採機に搭載する茶園用うね間除草機を開発しました。乗用型摘採機の後方左右にエンジン式刈払機を各1台搭載する構造で、ナイロンコードの刈刃で除草します。刈刃を樹冠下方向に入れる機構のため、うね間通路から樹冠下部分の除草が可能です。
 これまでの試験では、慣行比65~152倍の速度で除草可能との成績が得られています。今後も製品化に向けた機械の改良を実施していく予定です。
(農林技術研究所 農業ロボット・経営戦略科 上席研究員 牧田 英一)

ガンマ線測定によるスギ材の選別方法

画像:ガンマ線による選別の試作装置

ガンマ線による選別の試作装置

 スギは、材内部の心材の含水率にばらつきが大きいことで知られています。このため、大きい断面の平角などを製造する際に、基準の含水率を満たすことができず、乾燥材を安定供給することへの支障となっています。この問題の一つの解決策として、木材乾燥前に乾燥しやすいものとそうでないものを選別する方法があります。従来の方法として、重量による選別がありますが、測定の手間などのデメリットもあります。
 そこで、当センターでは、ガンマ線測定を行うことによる選別装置を試作し、重さを測ることなく製材ライン上で自動的に乾燥前選別する方法を検討しています。試作装置は、製材ライン上を材が移動する際に、ガンマ線検出数を測定するようになっています。この装置を使って、実際の製材工場で平角製造時に、ガンマ線検出数を測定し、人工乾燥後の含水率と比較しました。この結果、ガンマ線検出数と含水率には高い相関が示され、ガンマ線による選別の実用的な有用性が確認されました。開発が進めば、重さの測定などの労力のかかる作業をすることなく乾燥選別が可能です。
 本研究は、農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)」の支援を受けて開発したものです。また、令和2年度 合板・製材・集成材国際競争力強化・輸出対策のうちCLT建築実証支援事業のうちCLT等木質建築部材技術開発・普及事業の研究課題の一つとして試験を実施しました。           
(森林・林業研究センター 森林資源利用科 主任研究員 長瀬 亘)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466