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ホーム > 組織別情報 > 経済産業部 > 農林技術研究所 > 研究所ニュース > 詳細

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更新日:2022年6月1日

静岡県農林技術研究所

No.75/ 2022年6月/ 研究所ニュース

視点

イチゴ「きらぴ香」の特徴を活かした超多収栽培技術の確立 研究統括官 外岡 慎

画像:

クラウン冷却

 イチゴは本県の野菜で産出額第1位(111億円、令和元年度)の品目で、栃木県、福岡県に次ぐ全国第3位の産地です。これまで農林技術研究所では「紅ほっぺ」や「きらぴ香」などの品種の育成、炭酸ガス施用など生産性向上技術、紫外光照射によるうどんこ病・ハダニ対策などの病害虫防除技術の開発、などに取り組んできました。
 こうしたなか、本県産イチゴは首都圏を中心に高い市場評価を得てきましたが、市場が求める時期に必要量が供給できないなど、供給拡大が課題となっています。本県イチゴの10a当たり収穫量は3.5tであり、全国平均の3.1tよりも多いものの、市場への安定的な供給のためには収穫量を大きく伸ばす必要があります。
 そこで、農林技術研究所では、令和3年度から「首都圏に供給拡大‼イチゴ生産を革新する「超促成」「超多収」「高収益」システムの開発」というプロジェクト研究に取り組み、これまでの収穫量を大きく上回る10a当たり8tの収穫量と売上1千万円超を目指した超多収栽培技術の開発に取り組んでいます。
 これまで、イチゴ「きらぴ香」の早生性や連続出蕾性を活かし、7月から夜冷処理により低温・短日条件とすることで10月から収穫ができることや、定植後にクラウンを冷却処理することで12月以降も連続して収穫ができ、年内収穫量が1.5倍となることを明らかにしました。本技術は県内の農業法人で現地実証されています。
 また、定植予定数の半分の「きらぴ香」花芽未分化苗を、早期に本ぽに定植・増殖することで、慣行のポット育苗と比べて頂花房の開花・成熟日、収量は変わることなく、育苗の省力化が図れることを明らかにしました。本技術も県内の生産現場で導入事例が増えつつあります。
 これらの研究成果は、農林技術研究所のホームページ上の「成果写真集」のなかで紹介されています。なお、当プロジェクト研究は、引き続き目標達成に向け、新たな技術開発に取り組んでいきます。
 農林技術研究所では、現地で発生している課題解決に向け、研究に取り組むとともに、研究成果は迅速に情報提供していきますので、御支援・御協力をお願いいたします。

研究情報

バーク堆肥連用によるCO2削減効果

 農林水産省では、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現を目指すため、2021年5月にみどりの食料システム戦略を策定しました。また、静岡県においてもこの目標達成に向け、農業生産における環境に配慮した生産方式への転換に取り組んでいく必要があると考えています。そこで当研究所は、バーク堆肥連用によるCO2削減効果を明らかにしました。
 バーク堆肥は樹木の皮を発酵させた堆肥です。大気中のCO2を吸収した樹木が原料であるため、畑に施用することで、土壌に炭素を貯留できます。土壌への炭素貯留は大気中のCO2が減少することを意味し、CO2ゼロエミッション化に貢献できます。
 8月定植、11月収穫の作型でキャベツを栽培している黄色土畑にバーク堆肥を40年間毎年50t/haを連用することで、化学肥料だけの栽培より土壌中の炭素量は2.4倍に増加しました。この増加は1haあたり年間4.18tのCO2を削減したことを意味し、1年間で乗用車が排出するCO2に換算すると1.8台分となります。
(農林技術研究所 栄養・機能性科 主任研究員 石川 翔乃)

スマートウォッチで林業現場の作業を捉える

画像:スマートウォッチ

スマートウォッチ

 林業は労働災害が非常に多い産業です。関係団体による安全作業教育や普及啓発の取組により減少してはいるものの、令和2年度の死傷年千人率は25.5で、依然として全産業の約10倍という非常に高い水準にあります。林業の現場は、各作業者が一人ずつ離れた場所で作業する特徴があり、安全作業は個人の注意に頼らざるを得ないのが現状です。これを改善するために、センサーや無線通信を活用したIoTにより作業中の異常事態を検知し、労働災害発生のリスクを低減できる技術の開発に取り組んでいます。
 スマートウォッチは、腕時計型の機器の中に様々なセンサーとコンピューターを内蔵したもので、手首の動きや心拍数の情報を得ることができます。これを作業者に装着して、センサーから得られるデータを元に、遠隔地にいる作業者が現在どのような作業に従事しているのかを把握できるか調査しています。手首の動きからは、作業の種類をAIの活用である程度判別できています。また、心拍数からは心身の疲労度やストレスを推定できる可能性があります。
 今後は、センサーの情報を解析する精度を向上すると共に、森林内での無線通信を活用して他の作業者に体調変化等を通知したり、近接作業を警告したりする技術についても開発・検証を進めます。
(森林・林業研究センター 森林資源利用科 上席研究員 佐々木 重樹)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466